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学生が自分自身で尺度(評価基準)を作る

投稿日:2022.05.26

更新日:2022.06.24

小論文などの作品を学生同士で相互に評価し合うことは、学生の表現力、コミュニケーション力の向上に有効である。しかし、評価基準(ルーブリック)がなければ学生は何をどう評価していいか分からず困惑してしまう場合が多い。教員が評価基準を与えるという方法もあるが、学生自身に評価基準作成をゆだねると、文章を執筆するうえでの重要ポイントをさらに深く考えるきっかけとなる。

 

なお、このスナップショットは、第22回大学教育研究フォーラムの参加者企画セッションの1つ「MOSTが育てる実践コミュニティ」(2016年3月18日)において、以下5名がグループで作成した。筒井洋一(京都精華大)、稲垣久美子(明治大)、櫻井典子(新潟大)、東郷多津(京都ノートルダム女子大)、天野哲彦(岩手県立大)。

準備するもの

  • 原稿用紙
  • 評価基準作成用紙

ポイント

評価基準作成にあたっては、評価基準の大枠を示す、テンプレートを与える、評価基準例を示すなどして十分に説明する必要がある。

また、評価観点のウェイト付けや、与えられた執筆テーマによって評価基準の微調整が必要なことなども説明する。

手順

1

原稿用紙と評価基準作成用紙を配付する。

執筆テーマを提示する。必要な場合は、課題文や参考資料も配付する。

2

評価基準作成にあたって、評価の大枠を示す(例えば、形式が整っているか、読みやすいか、面白い・オリジナリティーがあるかなど)。

異なるテーマについて講師が作成した評価基準を例示するのものよい。

3

学生が各自、評価基準を作成する。

(学生が作成した評価基準は、作品執筆時間内に、講師がグループの人数分コピーし、作成した本人に返す。)

4

学生が各自、作品を執筆する。

執筆字数が多かったり関連資料を調べる必要がある場合については、作品執筆を宿題とする。

しかし、執筆字数の少ないエッセーなどは授業時間内に執筆(30~45分ほど)し、その後すぐにピアレビューに移ることができる。

5

数人のグループで執筆作品をピアレビューする。

4人グループで行うとすれば、1人の学生の作品が、他の3人による3種類の評価基準で評価されることになる。

6

すべての作品と記入済み評価基準を回収する。

7

各作品について教員が自分の評価基準に基づいて評価する。

8

作品と評価基準をすべて学生に返却する。場合によっては、優秀作品や特徴にある作品を発表する。

該当カテゴリー

天野哲彦さんの投稿「学生が自分自身で尺度(評価基準)を作る」は次のライセンスの下に提供されています。

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