PBLの振り返りとしてのパフォーマンス課題
PBLは活動が広範にわたり、的確な評価をするためには周到な準備や分析経験が必要となります。毎年実施しているPBLの改善を続けている授業実践者としては、学生にどのような変化があったのか、実際に参加した活動から何か得たのかを是非知りたいと考えます。そこで、振り返りの段階にパフォーマンス課題を実施することを試みています。
この授業では、高校生向けの入試広報紙の制作に参加した学生に対して、実施した活動と同様分野の課題を含んだパフォーマンス課題を提示し、学生の変化を捉えています。
準備するもの
- パフォーマンス課題の文章
- 課題の中で参照する物
- 検討内容をまとめるシート
ポイント
PBLの中で学生が果たした立場や役割と同様の環境を設定し文章化することがポイントです。同じ活動をもう一度実施することはできないため、教室内で検討できる内容を見つけることも大切です。
パフォーマンス課題の具体例は、以下の文献にとてもわかりやすく書かれています。
(三藤・西岡 日本標準ブックレット No11 パフォーマンス評価にどう取り組むか ―中学校社会科のカリキュラムと授業づくり―)
手順
1
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PBLの実施とパフォーマンス課題の検討。
この事例では、学生が学内の広報スタッフと協同で高校生向けの入試広報紙を制作するプロジェクトを実施しています。PBLでの活動が広報紙の制作という活動だったため、それと同様の課題を検討しました。この事例では、制作のプロとして昨年の大学祭のパンフレットの改善案を考える、という題材を選びました。
2
課題文の検討。
以下が課題文の例です。 "あなたに以下のような依頼が来ました。クライアントにどのような提言をしますか。この分野の専門家としてできるだけたくさん、かつ具体的にまとめてください。「大学祭のパンフレットの冊子デザインを再検討したい。特に来場者の大半を占める高校生向けにもう少し工夫したい。今後どのようなデザイン、紙面構成にしていったらいいか、ご意見をいただきたい」"
3
必要な物とワークシートの準備。
課題を実施するために参照するものなどがあれば揃えます。今回は前年度の大学祭のパンフレットを人数分揃えました。記入用のワークシートについては、自由記述にできる用紙を準備しました。箇条書きにしてもらうことで、箇条書きの個数の把握、文章ごとのカテゴリー化や評価も行いやすくなります。
4
課題の実施と評価。
実際に課題を実施します。成績には関係ないこと、自分の実力を振り返るためにも個人で実施してほしいことを教示します。学生たちはPBLで手がけた内容と同様の分野であることから、とても熱心に取り組みます。内容の評価については、以下の関連するスナップショットに分析例を載せています。また、上述の参考文献にはより詳しい分析方法の解説があります。
5
経年変化の把握。
ここでご紹介した実践は複数年継続していたため、PBLのデザインを改善しつつ、毎年同様のパフォーマンス課題を実施しました。授業アンケート等の実施に加え、学生が直接パフォーマンスを表現できる課題を実施することにより、学生、協同した学内のスタッフ、教員それぞれが活動そのものに対する理解を深めることにつながったと考えています。
6
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(参考:振り返りの様子)